映画「劇場」は純文学を観ている気持ちにさせてくれる又吉直樹の傑作!
劇場
監督 :行定勲
主演 :山﨑賢人, 松岡茉優, 寛一郎
ジャンル :ドラマ, ロマンス
総合評価
★★★★☆
この映画をおすすめな人
- 夢と恋愛の狭間で揺れている人
- 山崎賢人、松岡茉優のファンの人
- 又吉直樹や純文学が好きな人
あらすじ
高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。
しかし、その劇団は上演ごとに酷評され、解散状態となっていた。
ある日、永田は街で、偶然、女優になる夢を抱き上京し、服飾の大学に通っている沙希(松岡)と出会う。
常に演劇のことだけを考え、生きることがひどく不器用な永田を、沙希は「よく生きてこれたね」と笑い、いつしか二人は恋に落ちる。
沙希は「一番安全な場所だよ」と自宅に永田を迎え一緒に暮らし始める。
沙希は永田を応援し続け、永田もまた自分を理解し支えてくれる彼女に感じたことのない安らぎを覚えるが、理想と現実と間を埋めるようにますます演劇に没頭していく-。
夢を叶えることが、君を幸せにすることだと思って。
©2020「劇場」製作委員会
良い点
- コロナ禍のなか映画館とアマゾンプライムの同時上映をしてくれた
- 男女関係の喜びや痛みを追体験できる
- 幸福、搾取、才能、献身について考えさせられる
- 純文学を読んでいるような気持ちになる
悪い点
- クズ男とそれを献身的に支える女性を見ていてつらい
劇場の感想
クソみたいな自尊心を持つクズ男(永田)と、その男に献身的に尽くし愛を捧げる女(沙希)の物語。
やがて女は壊れ、その時に初めて男は本当に大切にしなければいけないものに気がつく…
クソ男は自分のクソな部分に目をつぶり、気がつかない振りをして、それどころか女に責任転嫁をする。
はい!
いますねこういうやつ。
私の周りにもいっぱいいました。
平たく言うと、夢を追いかけているという逃げ口上のうえで女に依存するダメ男とそれをつい支えてしまう共依存の女の物語。
誰しも少しは経験があるのでは?
私は、思い当たるふしがありすぎて走馬灯のように過去がグルグルまわってしまいましたよー(汗)
原作者の又吉直樹さんは、そんな風にいろんな人の心に刺さるように描いたのだと思います
大人になった男女にこそ見てもらいたい!
もう40代後半で既婚の筆者ですが、クソ男の心理を知ることができて勉強になりました。
傷ついているんですね、自分の不甲斐なさに。
やりきれない思いを消化できないんですね。
あぁ、若き日のあの頃の自分に教えてやりたいです。
悪いのはあんたじゃないよ!
相手が無駄に傷つけるようなことを言うのは、相手の自尊心を守るための八つ当たりだよ!
って。
いやしかし、これも若さゆえの過ちですかね。
あんなこんなを乗り越えてきたおかげで相手の痛みや苦しみ、ごう慢や意地悪などをかぎ分けることができるようになりましたもん。
そんな、若かったあの頃を通りすぎた大人にこそ響く映画なのではないでしょうか?
おそらく、この渦中にある若い男女にはよくわからない部分もあるのでは無いでしょうか?
いつか終わりが来るよ!
ああ、もうそんなことして、フラグ立ちまくりやん!!
みたいな場面がいっぱいありすぎて、妙齢の男女はお尻が浮いてムズムズしてくること間違いなしです。
ああ、なんで人は間違ってからじゃないと気がつかないんだろうね…。
昔、チューリップというフォークソング・グループがあり、そのヒット曲に
「虹とスニーカーの頃」
という曲がありました。
私はこの劇場という作品を観ている間、ずっとその曲がリフレインしていました。
♪若かった何もかもがあのスニーカーはもう捨てたかい?♪
勝手な私の解釈ですが
劇場は激情という言葉にかかっているのでは無いでしょうか?
若さのもつ激情、熱に浮かされたような日々。
沙希ちゃんがその劇場を名残惜しそうに去っていく。
それはただの劇場ではなく東京にいたあの時間から。
振り返りながら去っていく姿を自分に重ねてしまう。
そんな映画でした。
純文学を読んでいる気持ちになる
この作品をみていると純文学作品を読んでいるような気持ちになりました。
まずは太宰治の「人間失格」
同じくクズ男がでてきますので思い出してしまいました。
そして夏目漱石の「こころ」
重いし暗いしでなんか同じ香りがしました。
「先生」の屈折とも似ています。
男ってめんどくさいですね(笑)
総合評価
総合評価
★★★★☆
若い頃の日々を苦しくも思い出させてくれたけれど痛みも感じるので星4つで!
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